目次
はじめに
宅見(たくみ)所長
「法令上の制限」は、「権利関係」のように理解しながら覚えなければ点数がとれないということはありません。
専門的な用語や数字がいくつも出てくるため、一見するととっつきにくい印象で苦手意識を持ってしまう人が多いのが特徴です。
でも、実は難しい科目ではなく、しっかりと暗記すれば正解できる問題ばかりです。過去出題された内容を中心に、頑張って暗記しましょう。
本番の試験では「法令上の制限」は、50問中8問出題されます。宅建業法や権利関係と比べると出題数は少ないです。ただし、「法令上の制限」の正答数によっては合否を分けると言っても過言ではない科目です。
宅建士試験研究所の目標正解数は、8問中6問です。難易度の高い問題はあまり出題されず、比較的得点しやすい科目です。頻出度の高い項目を中心に、一つ一つ確実に暗記しましょう。
次に、法令上の制限の中身についてみていきます。「法令上の制限」と一言で言ってもイメージが浮かびにくいですよね。
例えば、土地を利用したり建物を建てたりする時には、様々な法律による規制がかかります。このように法令上の制限は、規制に関する法律が中心となります。
法令上の制限の中にはいくつか法律が出てきますが、宅建士試験のメインとなる法律は以下の6種類です。
- 都市計画法:2問出題されます。
- 建築基準法:2問出題されます。
- 土地区画整理法:1問出題されます。
- 農地法:1問出題されます。
- 宅地造成等規制法:1問出題されます。
- 国土利用計画法:1問出題されます(※)。
法令上の制限のイメージ
この6種類の法律のイメージを身近なマンションの例で確認しながら、簡単にご説明します。
例えば、マンションを建てる場合には最初に土地が必要になります。この土地を取得する段階では「国土利用計画法」や「農地法」の規制が関係してきます。
次に、購入した土地が地形上そのままではマンションを建てることができない等の場合に、「都市計画法」や「宅地造成等規制法」、「土地区画整理法」の規制が関係してきます。
また、造成した土地にマンションを建てる段階で「建築基準法」の規制を中心に「都市計画法」や「土地区画整理法」の規制が関わってきます。
法令上の制限の特徴
宅見(たくみ)所長
- 主に6種類の法律(都市計画法、建築基準法、土地区画整理法、農地法、宅地造成等規制法、国土利用計画法)中心に出題される
- 50問中8問出題される、目標は6問正解
- 都市計画法2問、建築基準法2問、土地区画整理法1問、農地法1問、宅地造成等規制法1問、国土利用計画法1問出題される(国土利用計画法は年によっては、他の諸法令と組み合わせて出題される)
- 難易度はそれほど高くない(どの問題も平均正答率は高め)、暗記中心の勉強で正解できる問題がほとんど
- 届出や許可の手続き、細かな数字の暗記が必要
- 合格者と不合格者の差がつきやすい科目(苦手意識をもつ人が多い科目)
- 過去問を中心にテキストの確認、演習を繰り返すことが正解への近道
法令上の制限は、他の科目と比較して、暗記が必要な項目や細かな数字が多いことが特徴です。また、それぞれの法律同士で似た内容も出てくるため、ゴチャゴチャにならないように整理しましょう。
法令上の制限を苦手にする人が多いため、逆にこの科目を得意にすれば合格する確率がますます上がります。過去何度も出題されている箇所を中心に確実に暗記することが大切です。
理解するというよりは、暗記した者勝ちの科目です。やれば必ず得点できます。
法令上の制限の出題傾向(頻出度と重要度)
宅見(たくみ)所長
法律 | 項目 | 頻出度 | 重要度 |
1.都市計画法 | 都市計画の内容 | 高 | |
都市計画の決定手続き | 低 | ||
開発許可の要否 | 高 | ||
開発許可の手続き | 普 | ||
都市計画制限等 | 普 | ||
2.建築基準法 | 建築確認、建築協定 | 高 | |
用途規制 | 高 | ||
建ぺい率、容積率の制限 | 高 | ||
高さの制限 | 普 | ||
単体規定、防火・準防火地域内の制限 | 高 | ||
3.土地区画整理法 | ー | 高 | |
4.農地法 | ー | 高 | |
5.宅地造成等規制法 | ー | 高 | |
6.国土利用計画法 | ー | 高 | |
7.その他諸法令 | ー | 低 |
法令上の制限の対策・攻略ポイントを一言解説
宅見(たくみ)所長
1.都市計画法
都市計画法は、2問出題されます。都市計画法で最も大切な項目は、「開発許可制度」です。
開発許可制度を最優先に徹底して覚え、過去問は確実に正解できるレベルにしておかなければいけません。開発許可については全般的に知識を身に付けておきましょう。
次に、重要な項目は都市計画の内容についてです。頻出度、重要度はとても高い項目です。都市計画の内容は、他の法律との関連もあり、前提となる内容であるため、しっかりと勉強しましょう。
2.建築基準法
建築基準法は、2問出題されます。建築基準法の特徴の一つに範囲が広いことが挙げられます。勉強する際に、自分で範囲を広げすぎず、メリハリをつけて勉強することが必要です。
まず、「集団規定」を確実に抑えるようにして下さい。建築基準法は特に暗記が必要な項目が多い法律です。テキストに掲載されているようなゴロも上手く活用すると暗記しやすいです。
LECのテキストのゴロは、なかなかセンスがあって覚えやすいですね。
最近の傾向は、個々の項目を問われるだけでなく、総合的に判断しなければならない問題も出題されています。過去問中心に、出題頻度の高い項目は全般的に学習しておきましょう。
3.土地区画整理法
土地区画整理法は、1問出題されます。法令上の制限の中では得点しにくい科目です。範囲も広いため、時間をかけすぎないことがポイントです。
まずは、建築行為等の制限や換地計画、仮換地の項目を中心に押さえましょう。
建築基準法と同様にメリハリをつけて勉強することが大切な科目です。
4.農地法
農地法は、1問出題されます。正解しやすい科目です。確実に得点しましょう。
農地法の出題は、農地の意味や3条、4条、5条の許可が中心です。
目標の6問正解のために、農地法は落とせない法律です。
5.宅地造成等規制法
宅地造成等規制法は、1問出題されます。農地法と同様に得点源の法律です。
宅地造成についての工事の許可制や届出制が出題の中心です。過去問は確実に正解できるようにしておきましょう。
6.国土利用計画法
国土利用計画法は、1問出題されます。ただし、単独で1問出題されない年もあります。
事後届出制からの出題が中心となります。
ただし、事前届出制についても選択肢の一つとして出題されることもあるため、事後届出制と事前届出制を比較しながら整理しておきましょう。
7.その他諸法令
その他諸法令とは、例えば、生産緑地法や港湾法、河川法、海岸法、道路法、文化財保護法、自然公園法等多数あります。
出題頻度は低いため、あまり深入りすべきではありません。
基本的に、各法律の許可権者と届出なのか許可なのかを覚えておきましょう。土壌汚染対策法は、都道府県知事への「届出」です。その他の出題される法律は、「許可」です。
許可権者は誰なのか、都道府県知事なのか、市町村長か、大臣なのか管理者なのかを整理しておきましょう。
宅建業法の傾向と対策についてはこちら👇をご覧下さい。
【宅建士試験】宅建業法の出題傾向と対策、攻略のポイントについて解説!権利関係の傾向と対策についてはこちら👇をご覧下さい。
【宅建士試験】権利関係(民法等)の出題傾向と対策、範囲を絞った学習がポイント!税その他の傾向と対策についてはこちら👇をご覧下さい。
【宅建士試験】税・その他の出題傾向と対策、攻略のポイントは基本事項を確実に身に付けること!
まとめ
宅見(たくみ)所長
今回は、法令上の制限の出題傾向と対策や攻略のポイントについてみてきました。
法令上の制限は、宅建業法20問や権利関係14問と比べて出題数は少ないため、あまり時間をかけすぎないようにすることが必要です。
出題範囲は広いため、頻出度の高い項目を徹底的に覚える(暗記する)ことが大切です。
問題レベルは、土地区画整理法はやや難しめの問題も出題されますが、難易度の高い問題はほとんどありません。6問正解したいところです。
今回の「法令上の制限」や「権利関係」はいかに出題頻度が高く、重要度の高い項目を中心に効率よく勉強できるかが鍵です。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。